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ラストデイズ後記

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作品は意外と観ているし、好きな作品も多いけど、"松田優作"のファンではない。というのも、松田優作ファンは非常にコアな方も多いので、恐れ多くてとてもファンとはいえないからだ^^;

しかしながら、昨晩のNHKの"ラストデイズ お前はおれになれる"を観て、"松田優作"という人間がいかにかっこよかったか改めて感じてしまった。だって、彼が亡くなってもう21年。でも、彼の演技もビジュアルも21年前という古さを一切感じない。時代を超越していた人だったんだなぁ、と再確認してしまった。

遺作がゆえに松田優作というと"ブラックレイン"について語られがちだが、私は上の写真の"野獣死すべし"の伊達が好きだ。静かなる狂気。知性の中に潜む狂気。無表情な演技が逆に怖くて、たまに目だけ笑ったりすると凍りついた記憶がある。昨日、野獣死すべしの映像が流れて、また再度観たくなってしまった。

"野獣~"しかり、"家族ゲーム"や"それから"など、わかりやすいハードボイルドよりも心理描写が繊細な作品のほうが、松田優作のよさって光っていたような気がする。
冬休みは改めて作品を再観してみることにしよっと^^



で、昨日の番組ですが、大きな流れとしては、照兄がインタビューや日本魅録などでも書き記していることが多かった。さらに、松田優作のドキュメンタリーの"SOUL RED"と同じネタも多かった。
でも、今回は松田優作の言葉を通して、香川照之が自分の生きざまを考える、ということが主軸になっているので、照兄のトラウマについてかなり語られたのが興味深かった。

父系を引き継ぐ梨園の血を引きながらも、その血を断絶しなくてはならない宿命。そんな血など、自分は俳優で活躍しているのだから、いいのではないか! と思う人がいるだろう。私も実はそう思っていた。何を照兄、梨園の血にこだわったことを書いているんだろうと。でも、脈々と父系だけで引き継いでいく歴史。自分は遺伝子を引き継ぐことができるのに、それを一方的に断絶されてしまう。人間としての遺伝子はもちろん彼は残しているけれど、長い歴史の中で脈々とはぐくんできた遺伝子を引き継ぐことができない、拒絶された、ということは、梨園の歴史にとって大きな罪なる・・・。と考えていたんですな・・・。
これは梨園の血をひく人間で、しかも男子でなければ感じない思いなんだろうなぁ~。
遺伝子を引き継げない思いを語っていたときに、涙ぐんでいる照兄に、梨園の重みを再認識いたしました。

それにしても猿之助にそんなひどいことを言われていたとは・・・。
彼がメンタル的にタフなのは、本当にいろんなトラウマがあるからなのね・・・。

と、ぷちっとした発見もあったが、この番組で心に響いたのは、
松田美由紀さんの言葉だった。
厳しい生い立ちで複雑なトラウマを抱え、さらにやっと自分の思うような道が見えたところでがんに冒されてしまった松田優作。でも、彼は最期を悟ったころから非常におだやかに父性に目覚めていったという。
その背景には家族への愛があったようだ。
絶対なる愛。
「人間って本当の愛に一度でも出会えば生きていかれるのよ」
一見、なんだかこっぱずかしいラブソングの歌詞みたいだけど、美由紀さんがいうとなんだか納得。
松田優作も本当の愛に出会うことができて狂気に走ることなく人生を終え、
さらに、その優作への愛で美由紀さんは今も生き続けている。

実は美由紀さんにはお会いしたことがあるが非常に率直でチャーミングな人。
この言葉は、彼女の人生そのものを一番わかりやすく表現している言葉なんだと思う。

本当の愛、自分は見つけているだろうか・・・^^;
まぁ、そんなことなども考えつつ。
照兄の"善良でありたい"という思いも今の自分には不足しがちなところ。
松田優作×照兄から、なんだか自分を見つめなおす時間となりました^^;

あ、きっとこれが、番組の狙いだったと思うので、まさに思うつぼってことで^^;
by lifeis4989 | 2010-12-23 21:45 | 雑記

ヒジョ~~~に偏った視点で、思い切り勝手に選んだ映画やドラマの感想とその周辺のお話。


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