人気ブログランキング | 話題のタグを見る

彼女が死んじゃった (2004)

彼女が死んじゃった (2004)_e0183033_22381069.jpg

ストーリー★★★★★(★5つ)
照之度★★★★★(★5つ)

長年かけてじんわりとファンになっていった香川照之だったのに、"まつり"をするまでのテンションに盛り上げてくれたのは、なんとこのドラマだった^^; 映画もいいんだけど、この人ドラマも見ごたえがあるのがうれしいところ。このドラマの香川照之はとにかく最高だ。

脚本は、"彼女が水着に着替えたら"など80年代のヒットメーカーの一色伸幸。

一流のタップダンサーを目指しながらも数々の挫折を繰り返し、自暴自棄状態でプー太郎のハジメ(長瀬智也)。住所不定で、たまに熱海の温泉場でダンサーとして日雇いする程度。毎日違う女と寝ることで、偽りのアイデンティティを保っているという超ろくでもない状態。そんなハジメがある夜、満室のラブホテルの待合室で、別の男とやはり待ち合わせをしていた、ゆかり(木村佳乃)という女と出会う。思わぬきっかけで気が合い、待合室からふたりで逃亡する。楽しい夜を過ごしたが、ハジメにとってはいつもと同じワンナイトスタンドな女だった。
が・・・・・!! 10日後、突然ゆかりの妹玲子(深田恭子)がハジメの元を訪ねてきて、「姉が自殺した」と告げる。遺書も何もない謎の死を遂げたゆかり。なぜ、ゆかりは突然死んだのか? 事故なのか、自殺なのか?事件なのか? その謎を探るために唯一の手がかりになるのは、ゆかりが使っていた携帯の履歴のみ。ゆかりの携帯アドレスを頼りに、玲子とハジメ、さらに自称ゆかりの婚約者と名乗る・良夫(香川照之)の3人は、ゆかりとつながる人たちをひとりずつ訪ねて行く。そこには、ハジメはもとより、玲子もずっとゆかりを想い続けていた良夫も知らないゆかりの姿が浮かび上がっていく。そして、彼女の死の理由を探りながら、実は、"自分が生きていくこと"も3人は見出していくのだった……。



実はこのドラマ、放映されていた当初は、「なんで木村佳乃がこんなはじけた役やってんだろう?」と初回だけ観てやめてしまっていた。なななななんてこと!! 全編観ると、木村佳乃はアクティブに動き回っているのに、実は迷路に迷い込んでいるという女性の役を実にうまく演じていた。

この作品、一色伸幸氏がうつ病から復活した後、はじめて手がけた長編ドラマだったという。80年代大ヒットドラマや映画を立て続けに作り、スターダムにのし上がった一色氏。でも、周りからは順風満帆に行っていると思われていた彼の心には、「死にたい」という自殺願望がうごめいていたというのだ。
人の心は計り知れない。傍目に元気に見えていても、心の動きは観ることはできないし、ましてやうつ病から来る死への誘惑は、倫理感とか理性では抑えられるものでもないのだ。
このドラマにもそんな死へ不透明さが非常に上手に描かれている。
決して、死や自殺を賛美しているドラマではない。逆に、ゆかりの死によって生きることをそれぞれが考え、観ている側も自分なりに考えることができるドラマ仕立てになっている。

でも、それが全然お説教チックじゃないのよね^^ 
そのいいカンフル剤になっているのが、やったら細かい豆知識を披露する"豆知識"こと良夫(香川照之)だ。
ずーーーーーーーーーーーーーーーーーと片想いでゆかりを想い続ける豆知識はとっても滑稽だ。でも、その滑稽さがとっても切ない。ヤーバと同じぐらいある意味切ないぜ、豆知識!!! そして愛がデカイ・・・。情けない男の役を実に自由に、はじけきって演じているのだ。

ハジメがつぶやく"俺がゆかりで、ゆかりが俺だ"というセリフしかり、豆知識がいう"人は人でいる限り四苦八苦です"というセリフ、そして、ゆかりがずっと追い求めた"永遠(ETERNITY)"とは何だったのか・・・。ドラマのあちらこちらに、引っかかってしまうキーワードがたくさんあって、ついつい立ち止まってしまう。
軽いタッチでありがらも、久々にじっくりと味わって噛みしめることができたドラマだった。

視聴率はあまりよくなかったみたいだが、観た人は今だに名作と断言することが多いドラマだ。5年前よりも確実に不景気で生きることに迷いがちだ。もしかしたら、今やったらこのドラマ、もっと評価されたんじゃないかなぁ、と思うのだった。でも、"このドラマは永遠です"(ゆかり風^^)

でも、私がゆかりみたいになってもこんなに懸命に死の理由を探してくれる人はいるかな・・・^^; ある意味、ゆかりは非常に幸せな女だったんだと思うよ。

彼女が死んじゃった。 DVD-BOX

バップ

スコア:


by lifeis4989 | 2009-07-27 23:21 | ドラマ

ヒジョ~~~に偏った視点で、思い切り勝手に選んだ映画やドラマの感想とその周辺のお話。


by lifeis4989